エロゲー主人公って辛い立場だよねぇ・・・。

エロゲーの主人公はどう在ればいいのか。萌えゲーマーの感想で時々見受けられるのだけど、
「主人公がモテる理由、あるいは、ヒロインが主人公を好きになる理由」を求めるのは何故か。
逆に、「主人公がヒロインを好きになる理由を求めない」のは何故なのか。
 
ヒロインを魅力的に仕上げるのはそう難しいことではないだろう。
美麗な萌えキャラの立ち絵・イベントCG、声優による魅力的なボイス、あとはシナリオ・テキストの上乗せ勝負でよい。
(本来ならまずシナリオ・テキストありきで、絵やボイスこそ上乗せ要素であるべきなのだが、残念ながら昨今の現状、
そして声優そのものを重視する傾向からして、順序はほぼ逆転していると考えるのもアリだろう。)
恋愛を売りにしたゲームにおいて、嫌悪されるヒロインなど通常ではありえないので、余程の事が無い限り、
主人公がヒロインを好きになる理由を求める必要はまず無いだろう。年齢差(ババア/ロリ)とか嗜好は分かれるだろうが、そこは触れないでおく。
そこで、仮にヒロインを魅力的に描くことに成功しても、対する主人公の描写に失敗してしまえば、それは大きな欠陥となる。
何故なら、ヒロインが付き合い体を許す相手がしょーもない朴念仁であれば、翻って、そんな相手を好きになり股を開いたヒロインの格・レベルまで下げてしまうからだ。
安室奈美恵と芸人の熱愛が発覚した時のファンの失望が良い例である。
それは当事者からすると全く大きなお世話なのだが、こと萌えゲーに関してはそうも言っていられない。
プレイヤーに共感させてナンボ、感情移入させてナンボの作品なのだから、読み手にドン引かれるのは大きな傷となってしまうのだ。
 
かつては主人公≒プレイヤーにより近づけるため名前変更など工夫がなされていたが、
最近は主人公がツッコミ役として漫才がテキストの主流となっているので、主人公について
ある程度のキャラ立ては不可欠となり、どうしても主人公とプレイヤーの乖離が避けれない。
他レビュアーの感想を拝借すれば、「Sugar+Spice!」の『俺の司ちゃん返せチクショウ』が
そういった主人公とプレイヤーの乖離をよく表したものだろう。
一口に言えば、主人公が鼻につきプレイヤーの独占欲を逆撫でして感情移入の阻害要因となってしまったケースの典型だと思われる。
 
主人公はヒロインとプレイヤーとの間で「板挟み」状態にある。
2次元キャラにもかかわらず、「イケメンじゃないくせにモテるのは変だ」「何も特別な事してないのにモテるのは変だ」と言われて辛い立場なのだ。
萌えゲーマーからすれば、車に轢かれそうになるのを助けたり、不良から救ってあげたり、日常とは違う何か特殊な事情でもないと、好きという感情は生まれないのだ。
ことエロゲーにおける恋愛事情に関して言えば。主人公は、会話等を通してヒロインの魅力をプレイヤーに伝えつつ、
自らもプレイヤーに対し「俺カッコいい」アピールをしていかなければならない。
忙しいのだ。「暁の護衛」は、そこらへんの処理が非常に上手かった。逆に最低だったのが「もっと姉ちゃんとしようよ」の主人公だ。
あれこそヒロインの魅力づけに終始するあまり、自身の悪癖を直すことをせず、結果として「ヒロインもろとも爆死」してしまった典型例である。
 
主人公がモテる理由を求めるのは、独占欲を静めるため=ぶっちゃけ主人公に寝取られたと考えたくないから。
ヒロインが主人公を好きになった理由を求めるのは、魅力に溢れたヒロインの格を、凡庸な主人公とくっつけることで下げたくないから。
 
端的にまとめるとこうなるわけだが、それ以外にも理由は考えられる。
恋愛の成立する過程はギャルゲー物語の核心部分であり、これを外郭部分のぶっ飛んだ設定と一緒にスルーできないと考える人もいるだろう。
私が「真剣で私に恋しなさい」でシナリオ部分をメッタ斬りしたのはそれだけに留まらないのだが、それとは逆に、そんなことはどうでもよく、
漫才さえ楽しければそれでいい、パロディ=作品と賛辞だか貶してるんだかよく分からない事を言う人もいる。
プレイヤーが何に重きを置いているかで評価が分かれるのは当然だが、
まさか「タカヒロ=パロディ」で全肯定し100点を連発する人が大勢いるとは思わなかったなぁ。。。
パロディ重視、声優ネタ重視であれば、確かに主人公がどんなヤツだろうと板挟みとか関係なく作品を高評価できる。
ある意味、タカヒロ氏はこれまでの恋愛萌えゲーの在り方を変えたとも言えるのか。でもなぁ・・・
最初からヒロイン達に溺愛されている「姉しよ」→ヒロインとの恋愛成立の過程を描いた「つよきす」→恋愛・シナリオを崩壊させてギャグパロ燃え鬼盛り・・・
ホップ、ステップ、まで良かったのにジャンプでどうしてこうなった。
 
何が言いたいのかよく分からなくなってきたけど、
要するに萌えエロゲーのシナリオテキスト書くのは実際の所、ヒロイン⇔主人公⇔プレイヤーの関係をうまくバランス取るのが物凄く難しいと思う。
だからこそ、都合の良い設定やお約束で綻びが出ないように、アラをアラとして認識させずに看過させる暗黙のルールが出来上がったのだろう。
でも、その関係を根底からぶっ壊した作品が「臭作」だった。